(全国安い宿情報99〜00年版より)
その2はコチラ

●その1 岩手県盛岡・わんこそば編(P.53参照)

 盛岡といえば“わんこそば”でしょう!「せっかく来たならやっぱり食べてみたい!」と挑戦してみましたよ。「ハイッ、ハイッ」とテンポよくつがれて食べるシーンをテレビで見たことがあって、ちょっとやってみたかったのよねんっ。実は、前の日からお昼に食べようと思っていたので、朝メシはぬき。「いざ出陣!」の心構えでお店へ。メニューを見せてもらうと、2タイプあって、1つは2,500円、もう1つは3,000円。「うわ〜、やっぱり名物だけあってそこそこの値段はするなぁ〜。きつねそばを食べる感覚じゃないなぁ。」と思ったけど「えーい、イベント料だ!」とGOサイン。お店の人にこの2つの違いを聞くと、3,000円の方が薬味の種類が多いのと、食べ終わったお椀を下げてしまわないでテーブルに残しておいて、何杯食べているか分かるようにしてくれるというものらしく、それならばと3,000円の方でチャレンジすることにしました。私は食べるのがとてもとても遅い、スローイートマンなので、気になって「ボク食べるの遅いけどいいですか?」と聞いたら、ニッコリ笑って「ご自分のペースでどうぞ。」と言ってくれたので、すごくホッとした。そして、そんなに待たないでお椀軍団の登場。今日の敵だ。負けへんゾ。お椀15杯で普通のおそばの1人前らしく、15杯ずつ持ってきてくれるようだ。私はスローなだけでなく少食なので、1人前さえいかなかったらカッコ悪いなぁ〜と、「普通は皆さんどのくらいまでいくんですか?」と聞いたら、「女性でだいたい30〜40杯、男性で50〜60杯くらいですかねぇ」というじゃあ〜りませんか!「おいおいおい、そんなに食えね〜よ。」と思いながらスタート!ポンッと自分のお椀へ入ったおそばを見ると、あらまぁカワイイこと。ほんのちょびっとだけ。「こんな量なのね」と思いながらパクッと一口でいくと、ポン。あら、もう次が…。パクッ。ポン。すばやい…。「ヨイショ!」や「ハイ、どんどんっ!」といったちょっと甲高くリズミカルな合の手でテンポよくつがれ、気がつけば10杯、20杯、30杯…、そしてなんと60杯。結構いけるじゃん。でも、まだまだ余裕。お椀にたまった水分は捨てるところがあり、沢山の薬味で味付けを変えたりして、飽きさせないようなサービスなので食がすすむ。隣にいたおばさんグループと、「お兄さん、男なんだからまだまだいくわよねぇ」「いけますよー」などとやりとりしながら、ついに80杯。そろそろお腹にたまってきたかなぁという感じ。すると、急に次からの1杯1杯がハードパンチャーに!一気に限界点がやってきた。1杯1杯がホフク前進のように時間がかかる。キ、キツイ…。なんとかキリよく90杯まで頑張り、とうとうごっつぁん。3,000円分のもとを充分にとり、認定書をもらって満足して店をあとにすることができました。100杯いく人は1日にほんの何人かだけらしく、私にとって充分な勝利と言えよう。ハッハッハッ。

 

●その2 群馬県草津・温泉大好き編(P.87参照)

 温泉大好きっコの沖田っちは、取材で全国のあちこちを旅していて温泉を見つけると、「これも仕事だーっ!」とすかさず入るのだけど、いろいろといいとこありますよぉ。足を思いっきり伸ばせる大浴場と露天風呂なんてあったら、「ん〜わお〜!」って感じだけど、温泉といっても様々で、無色透明の「これ、普通のお湯とちゃうん?」と聞きたくなるような、雰囲気だけを楽しむため用?ってものが大半なんだけど(もちろん温泉だから体に効いているはずだし、それはそれで気持ちいいからいいのだが…)、お湯自体にすごい特徴があるのに入ると「こっ!これが温泉というものなのでありますかっ!隊長っ!」とびっくりする。例えば草津、蔵王、乗鞍…だ(まだまだ他にも沢山ある)。要は硫黄がきつ〜いということなのだろうが、これがすごい。それらは色が白濁色で、においは一般的によくいわれている卵が腐った感じだ。そして湯船に浸かり、「あ゛〜っ、きっもちいい〜」なんていって伸びをして顔を洗ってしまったらもう大変。目は痛いわ、ヒゲの剃り跡はチクチク痛いわ、口にちょこっとでも入ろうものなら、渋柿をだまされて食べた後のようなあのしっぶ〜い感じが口の中いっぱいに広がり、猿岩石の有吉君がビールを飲んだ後に「あ゛〜っ」と舌を出すポーズを、自分でもとってしまう程なのだ。悪役スターの八名信夫さんが緑色の液体を飲んで「ん〜まずい〜!もう一杯〜!」とやらかしてしまう感じだ。だから、素晴らしい温泉ほど気を付けなくてはいけない事もあるのだ。地元の人も毎日はとてもじゃないけど入れないから、普通のお風呂に入るという。そしてタオルには1週間においがつく…。又、草津には、湯畑というところがあって、「お湯ってこんなに沢山あるんだぁ」と自然の恵みの大きさを感じ、ちょっと感動。「草津良いと〜こ」と歌が聞こえてきそう。行ってみる価値あるんじゃな〜い?

 

●その3 兵庫県神鍋高原・パラグライダー編(P.169参照)

 わたくし、自然の力で初めて空を飛んだッス。んも〜気持ちい〜!って感じ。
 兵庫県中北部にある神鍋高原『アップかんなべ』では、冬はスキー・スノボ、夏はパラグライダーやマウンテンボードなど1年中スポーツが楽しめる。ふつうは、AM10:00頃から簡単な講習を受け1日使って楽しむものなんだけど、取材ということで特別メニューにしてもらい、簡単な説明のみで即チャレンジ(ホントはダメよ)!…とは言っても、まずはパラシュートのたたみ方、操作方法を教えてもらい、凧揚げのように地上で練習。突風に、ぐわんとパラシュートをもっていかれてよろけたりすると、こんな調子でオレは大丈夫なのか?とビビってしまう。パラグライダーというのは左右にひもが7本ずつあり、そのうち1本ずつを引っ張ってバランスをとるんだけど、そのひも達がこんがらがるとシャレじゃ済まない事態になってしまうので、たたみ方や飛ぶ前の状態は特に重要なのだ。そして、実際に飛ぶ時は無線でバランスの取り方(ひもの引っ張り方)を指示してもらうのでその練習もするんだけど、最初はなかなかうまくいかない。腕を上に伸ばしたり、肩や胸、腰の位置まで下げたりと、まるで「赤上げてっ、白下げないで〜赤上げないっ」ってやつみたいに訳分かんなくなってきて、ますます本番が不安になる。でもまあなんとかOKがでて、いざリフトに乗りスタート地点へ。そして、GO!の合図で斜面をダダダダッと走りジャンプ!体がふわっと浮かんだ。そうなると後はもう無線と神様頼み。上空100m位の高さからゆっくり降りていくんだけど、下を見ても一面緑の芝なので、いまいち距離感がつかめない。ただ、自分の前後左右、そして上下には何もないということはよくわかった。でも飛んだら飛んだで不安な気持ちは消えて、なぜか“落ちない”という感じはした。私は空をゆっくりと舞い、操作もバッチリでき、夢のようなひとときを体験できた。“飛ぶ”というよりも“空を移動(スライド)している”という感じの不思議な楽しい体験をした。

 

●その4 熊本県・温泉&食べ物編(P.205参照)

 温泉というと、無色透明や白濁色というところが多いし、そういうイメージが強かったんだけど、九州はちょっと違うみたい。赤いんだよ。正確には赤褐色っていうやつだ。鉄分が多いせいなのだろう。温泉地として有名な大分では、ビジネスホテルでも温泉をひいているところが多い。それも各部屋のユニットバスにだ。だから最初蛇口をひねったら、赤い水が出てきて、「うわ〜、鉄サビじゃ〜ん。マジ〜。」と思ったのだけれど、注意書きがあったので、へぇ〜と思った。お味の方は?…やっぱり鉄の味だ。熊本の阿蘇山周辺も同じような赤褐色の温泉が湧いている。赤褐色だけに、「おお〜、地球は燃えている〜」という感じがして、ギザギザの阿蘇山を見ていると今にも噴火するんではないかと少し心配になる。
 本州の人間が九州に行くと、いわゆるひとつの海外なので、ちょっと異文化チック(そんな言葉あるのか?)なのではないかと、期待と不安に胸がふくらむ(オレだけか?)。ウッチャンの故郷、熊本の人吉に行った時なんかは、味覚の違い?という壁にブチ当たった。朝ご飯の時だ。和食なのだが、おかずのひとつにゆでたれんこんがでてきた。れんこんに目がない私は「ウホッ」と喜び手をのばす。そのれんこんはちょっと変わった感じで、穴の中に卵のような黄色いものがしっかり詰まっていて、全体的にもうっすら卵に包まれている。「おお〜、うまそっ!」とパクッといった。そして、サクッとひと噛みした瞬間、地球上の時間が止まった。………。「辛〜〜〜っっっ!!!!!」次の瞬間、鼻に釘が打たれ、一気に涙腺を刺激した。穴にたっぷり詰まっていた黄色いものは、からしだったのだ。疑いもなく一気にかぶりついたので、かなりの量だ。鼻がつーんどころの騒ぎじゃない。それを通りこして痛い程。当然眠気なんかはふっとび、バタバタともがいていた。水をもらったが、それでもなかなかおさまらない。後で話を聞くと、それは“からしれんこん”というらしく、熊本名物の1つらしい。熊本出身の知り合いは、「ピリ辛で、酒のつまみにいいよ」といっていたが、私にとってはピリ辛どころじゃなかった。熊本の人は平気でこんな辛いものを食べるのかと思うと信じられない気もするが、「異文化に乾杯!」と旅の深みをしみじみ感じた。